おお、魔性の11巻よ。何もかもあの元述が可愛すぎるからいけないのです。

ワタシが始めて「新暗行御史」と出会ったのは、「新春香外伝」が載っていたサンデーGXでした。
椎名高志先生の読み切りを目当てで買ったのですが、巻頭のきれいなフルカラー漫画に興味を引かれて読んでみたのがきっかけです。ちょうど、カラーページの隣に5巻の広告が出ていて、あの頃は山道のあの格好を見て「なぜこんな際どいかっこうで戦うのだろう……」とドキドキハラハラしたものです。

本編では平岡が温達と恋仲なのに兄が横恋慕して襲い掛かってました。このときのワタシはまだ誰が主人公なのかもよくわかっていませんでした。文秀と夢龍を春香の恋人(=同一人物)だと思っていて「何で顔が違うの?」とか言ってましたしね。夢龍のカチューシャが文秀に渡った経緯とか、まだ知らなかったんですもん。

椎名高志の短期連載は3話で終わりだったので、GXも3号で購入をやめたのですが、平岡編に決着がつかないままでしたので、続きが気になっていました。これがコミックスを買うきっかけになったのです。この時点ではまだ元述のウの字も出てきませんね。

そのような過程を経て読み始めた新暗行御史です。1〜3巻を経て元述が出てくるあたりでは普通に山道可愛いとか言ってました。腐女子萌えなどかけらもなかったです。
元述が登場した時も、花郎最上位の剣士とか言う肩書きには惹かれましたけれども、嬉々として人を斬りまくる危ないおにーさん、ぐらいの認識でした。溶路で囚人斬ってる時より虫も殺さぬようなお顔で山道をざくざく斬ってる時の方に戦慄してみたり。おなごの柔肌がざっくり切り裂かれる様はいつ見ても痛々しい。そんな肌も露わな格好でいるから……!! とまたハラハラさせられたりして。

度肝を抜かれたのは、山道にばっさり袈裟懸けにされて元述が倒れるときでした。
え……散ってる? 散った? 花? え? これどういう演出??
そんな……おまえ……どこの耽美キャラですかってくらい……見開きまで使って3ページもかけて念入りに……!!(ガクブル) まさに花が散るという言葉が相応しい死にっぷり。何よ。花郎だからなの? お花だからなの? 駄洒落なの? 「溶路に咲く花」ってそういう意味なの?
わきあがる疑問の数々。いったいどんな思惑でこういう演出にしたのか、伊仁完先生を小一時間問い詰めたい気持ちでいっぱいでした。
梁慶一先生が絵に起こすときに異議申し立てはなかったのでしょうか。担当はツッコミを入れなかったのでしょうか。むしろGX編集部に読者が踊らされているのでしょうか。
その後堰があふれるように吐露される元述の胸のうちっつーか将軍への大告白と振られっぷりが功を奏して、溶路での残虐行為はすっかり頭の中から忘れ去られていました。(←単純)天晴れ元述。見事な死に様よ。
この時の元述のテーマソングは「薔薇は美しく散る」で決まりです。ジュテーム・元述。マルレーネさんもびっくりだ。

そんなわけで最期の最期に強烈な印象を残して散った元述ですが、7巻で回想シーンと共に再登場したりしてまたびっくり。
この回想シーンの元述がまた可愛いわけなんですが。なんつーか反応が素直だなというか。将軍の言葉に一喜一憂してさぞかし相手を楽しませてくれたことでしょうというか。(ヒドッ)
将軍の「寂しいときに抱ける女なら云々」はどこまで本気かわかりませんが、元述はたぶん丸ごと本気にとったと思います。それであのがっかりっぷりよ。男である限り将軍の旅のお供は一生無理なのねんと納得しちゃったのか。

この回想シーンを見た時はつくづく文秀って男に興味が無いんだな(それが普通です)と思っていたのにね……。
ああ11巻を読むまでは。

どこのハレムの王様かカリスマミュージシャンですかってな文秀将軍のアレっぷりにもツッコミ気分全開だったのですが、元述はまあ表紙からして可愛いし、登場シーンは美々しいし、戦場での怖じ気っぷりというか呑まれっぷりというかも可愛いし、途方にくれちゃった顔なんてしてお前本当に歴戦の勇者なのかと突っ込みたいし、将軍の顔見た途端に画風まで変わるし、色々ありすぎてどうしようかと思ってたら、「Classic.20 根深き樹」ノンブル62ページの将軍の微笑にノックアウトですよ。
なにこれ。すっごい愛を感じる。
あんた忠犬をなんて目で見るんですか。なんだそのご満悦な微笑は。そんなに自分の後ろを忠実にくっついてくる剣士がご自慢かよ。文秀のための元述郎かよ。畜生今更だよ! 今更萌えちゃったよー!!(もんどりうち)

そんなこんなで大わらわなワタクシめに、さらにたたみかけるように怒涛の萌え展開が押し寄せてきますよ。息もつかせぬとはまさにこのこと。
味方の惨状、一面の屍に精神崩壊寸前の元述を叱咤する将軍。雷撃を防ぐために地に伏せていたはずの所を、無防備状態の元述を見つけて救助のためにすっ飛んできたのかと思うとえらく萌えなんですが!
無造作に元述の頭を掴んで顔を上げさせる仕草とかがまたときめくんじゃコノー! 後半この人元述のことしか見てないよ!! あんたの背中も無防備ですって!
そして快惰天に吹っ飛ばされる将軍。それを見て我に返り涙目の元述。何でこんなに可愛いのこの剣士!!
そこから元暁に励まされて立ち上がる元述。颯爽と敵を切り裂く強い剣士も格好いいですが、こうやって満身創痍でズタボロになりながら健気に戦う姿もまた心惹かれるものがあります。元述って健気受けだよねとかどさくさまぎれに言ってみる。
なんだろう、もう。快惰天に衝撃波(?)くらって倒れた元述なんて保護欲をくすぐられる弱々しさ可憐さよ。8巻で雨の中倒れてる春香と変わらないよ。彼いったいいくつなの? 二十歳を超えた男には見えないこの放心した顔とか。うっかりショタ心と嗜虐心を同時にくすぐられてもう大変よ。
そして絶望の底に沈んでいこうとする元述をがっしと掴んで引っ張りあげる将軍の男らしさよ。なんて頼もしいの。そりゃ元述も惚れるよ!!

結局のところ、いかに元述が将軍ラブラブ(笑)でも、肝心の文秀将軍の感情はどうなのか疑問だったわけなんです。無関心だったわけではないようだけどどこか突き放した感じがあるし。単に職務の上で信頼できる部下として扱っているだけで、個人としては興味なかったのかと疑うこともしばしばでした。
ですが今ではもう確信をもって言い切ることとします。これは文秀将軍のあまりにも男らしすぎる愛情表現なのだと。これが愛でなくてなんだろう。愛していると見えない方がおかしいです。普段はいけずな態度でも、いざ有事となれば滲み出る深い愛情。行く手をふさぐ悪獣あらば駆けつけて一刀両断にし、男前スマイルで不安を消し去っては行く手を拓き、絶望しかければ救い上げ、弱気になれば叱咤激励する。なんて男らしい愛。あの広い胸はいつでも元述のために開かれていますよ。俺の胸にすがって泣け!!
そんな感じでラストシーン。これ、どっちの方から手を伸ばしたのかなと妄想するとまた楽しいです。元述の方から、子供が親にすがるように手を伸ばしたのか、将軍の方が手を差し伸べて胸に抱き寄せたのか。そんなコマの間の過程を想像もとい妄想するのがまた……!! ああ呼吸が荒くなってくるわ! 嗚咽をこらえるような泣き方がまたいじらしい……!!

もう何もかも将軍が男前過ぎるのがいけないのです。最初に言ってることと違っとるがな。
まあ、元述が可愛すぎるのはもう言うまでもないからいいですよね。ウフ。

その後ネットの海で数々の文元サイト様をめぐり確信を深め、そして現在このようなサイトを開いている次第です。人間坂を転がり始めると早いものよ。本人的には転げ落ちていくというよりもフワフワ昇っていく感じですけれどもね! ウフフ〜アハハ〜

おかげさまで今のワタシはすっかり文元上等!! になりましたよ。文元文元、おかずがなくてもご飯がおいしく食べられる呪文〜♪
むしろ文秀将軍はこの世で一番元述萌えの男だと信じて疑いませんが、何か?(極端すぎ)

強いけれどもちょっと脆くて一途で健気でどこか稚い花郎の美人剣士と、傍若無人で多少ぞんざいなところもあるけれども元述がよろけそうになると片腕でがっしり支えてくれるような男前将軍。
そんな文元に萌えてしまったというお話でした。