文元に限って言えば、ある意味大団円でした。
まあ、なんだ。ぶっちゃけ今までの既存キャラクター在庫一掃セールは、ラスト2ページ見開きに繋がるための壮大な前振りでしかなかったのかと。
「んじゃ、行こうか! 元述、見ないうちに見違えたぜ」
「遅いですよ、将軍!」
「ははは、すまんすまん」
「遅いですよ、将軍!」
「ははは、すまんすまん」
「遅いですよ、将軍!」
「ははは、すまんすまんvvv」
何このバカップル。
この瞬間に二人を除く涅槃のキャラクターは、完全に背景と化したのである。
このエピローグで誰しもが、「こうして二人は永遠に結ばれた」的な妄想を浮かべたことであろう……ここで言う「誰しも」とはむろん、文秀×元述推奨の方々であることは言うまでもないが。(他は知らん)
ていうかちょっと、これっていいの? ほんとにこんな終わり方でいいの? 最終回でこんな餌与えていいの!? もう修正は効かないんだよ!?
もう、元述ャーの年表に「外伝期」「聚慎期」「熔路期」「ゾンビ期」に続く「涅槃期」が加わってしまった事は間違いないよ! しかもやりたい放題! 何の障害も無く! 何でもあり得るパラレルワールド! だってこの世と違う別天地だから!!!
ていうか、「見違えた」って、どう見違えたんだー!! そこを見せないと腐女子は狂おしく妄想しまくりんぐ!? 十中八九、「男らしくなった」とか「逞しくなった」と言う方向には行かないことは火を見るより明らかだよ!?
はっ! もしや単行本化された時に台詞を直すつもりではあるまいな!? そっくり桂月香とのやりとりに差し替えられたりしてな! おのれぬか喜びさせやがってー! これでは、うかつに今月号のGXは捨てられないぞー!!
ここまでの放送はハイテンション神酒洸でお送りしています。
オーケイ、少し落ち着いて話そうじゃないか。
さすがに、16巻の表紙と背表紙で一部の元述ファンのブーイングを買って、この上最終巻でまで火に油を注ぐような真似はするまいよ。
逆に考えるんだ。最終巻の背表紙が元述だったらと考えるんだ。
そんな事になったらもう、ヒロイン=元述で確定じゃね?
だって最終巻だよ? 物語の幕を下ろす重要な一冊だよ。その最後の背表紙を飾るのが元述。今まで出し惜しみして来たのは、トリを飾るため! これってなんか、凄く重要キャラ扱いされたように思えませんか?
あれ……なんか、凄くどきどきしてきたぞ。もしそんな事になったらって思うと、期待と不安で土器が胸胸しちゃうよ! ウッヒャー!!
ちなみに、最終巻は10月19日頃発売予定です!!
フゥー、クールダウン、クールダウン。
しかしですね、不満な部分もあるんですよ。先月号の感想でグチグチ言っていた件。
結局、死の影=元述のネガティブイメージはフォローされなかったなって。
やっぱりなんだか納得いかないですよ。今までどんな境遇に落とされようが、根本的に元述はずっと将軍を信じ続けてきたわけなのに。阿志泰に勝てるのは文秀将軍しかいないって、かっこいいところが見たいって、言ってたじゃないですか。
だから、どうせ回想するならもっと肯定的なイメージの場面を出して欲しかった。
けれど、考えようによっては、文秀の中で元述の存在がどれほど大きいかって事を公式に示す描写と言えるかもしれません。
八巻で元述に「あなたが阿志泰に勝てましょうか?」って言われたことが、よっぽどショックだったんだよ文秀は。
文秀は桂月香にしろ元述にしろ、好かれているという立場に甘えていた節があります。聚慎がおかしくなった時も、元述が自分に味方してくれて当然という態度だったし。
けして信頼が揺らぐことが無いという安心が、精神の拠り所であったように思う。実際、元述に否定的な態度を取られるといちいち動揺してるしこの人。(そこは萌えどころでもある)
そして元述は表面的は否定的な態度だったり反抗したりしても、結局文秀に寄せる信頼は揺らがなかった。
根深き樹が立ち続けるには、その根を下ろす強い大地が必用なんです。
でも、文秀はそういう相手を阿志泰の企みによりことごとく喪って来たわけだ。阿志泰を倒すのは自分しかいないと信ずる一方、大切なものを守れなかったという事実が重くしこりとなって心の中に残っていても不思議ではない。
(そんな俺が、本当に阿志泰を倒せるのか?)
同じ疑問を、当の元述の口から言われてしまったとしたら。
その後の行動で、それは元述の本心ではないとわかっても、胸に刺さった棘が抜けることはないまま、曼荼羅華の夢で喪失の記憶を追体験する。その夢から覚めてみたら、更に追い討ちをかけるように元述の二度目の死。
さすがの文秀も打ちのめされて、胸の内に隠してきた不安を口に出してしまうのです。
俺は……奴に勝てるだろうか……
そうした文秀の心情を踏まえて、あの影の描写だったとしたら腑に落ちます。物語的にも筋が通っていると思うし。
しかし、なんだ。そんな拘泥が馬鹿馬鹿しく思えるようなあのラストシーンですよ……
もー。ほんとにこの二人は、もー。
しかし最終回、75ページで話をまとめきれるのかと思っていましたが、一部まとめるのを放棄したように見受けられる部分も無きにしも非ず……。
変な例えですが、プチプチを一個ずつ潰していくんじゃなくて、雑巾絞りでまとめて潰したような感じが。
潔いような、もったいないようなー。
一つ一つの戦いを描いていると、メインの阿志泰V.S.文秀に割り当てるページ数が減るのを避けたのかな。大ゴマを惜しみなく使って、壮絶な戦いを描いていましたね。命の土壇場で駆け引きする文秀の戦いは、鬼気迫るものがありました。
それにしても、春香の存在意義ってなんだったんだ……。人ではない真実とやらに、どんな意義を持たそうとしていたんだろう。どうも彼女に関しては、ちゃんと描ききれていなかったように感じるんですよね。
結局彼女はこの旅路で何を得たんだろう。
お互いに強く信頼しあえた……という描写もあまり、心に響いてくるものが無かった。洗脳されたヒロインを呪縛から解くという展開的に、こうあるべき、というのはわかるんだけど。そこまでこの二人が相互理解しあっていたかと訊かれると、微妙な感じ。
絆を確かめるのに、いちいち夢龍の形見が出てくるのもなあ。文秀だから信じるってわけでも無いように見えてしまう。逆に形見を身につけることによって、文秀の方が春香が一緒に旅するための理由になってあげていた、という風に見るべきなんだろうか。
文秀のために強くなりたかったと言う割には、「死んだ」って言われて疑いも無く阿志泰の言葉を受け入れてしまい、敵に回る。(まあ、文秀もほぼ放置状態でしたが……活貧党とのいざこざでそれ所じゃなかったのもあるけど。多少は心配していたのかな?)
それから特に内心の葛藤を描写されたわけでもなく、阿志泰の意のまま暴れ回って、文秀といざ対峙する場になってから「あいつはあんなに苦しんでるじゃないか」って言われても、読者としては「はあ、そうなんですか?」としか思えない。
もう少し彼女の内面をしっかり描いて欲しかった。
人外の存在と言うギミックは正直どうでもいい。ストーリーにはまったく絡んできてないし、そんな伏線張る必要が果たしてあったのかどうか……
つか、いつの間にかミス黄の山道も消えてるし。外見を幼女にした意味はあったのかよ。
最終回はなんか、春香よりマルレーネの方が印象に残ってるなあ。おいしい所取りというのもあるが、三ページ使って大泣きしている春香より、文秀の遺骸を見て声も無く涙を流すマルレーネの方に同情が沸く。この子は文秀の死に様から何かを感じて、未来に受け継いでいくのかなあ。
あと、西の領主(最後まで名前がもらえなかった(笑))と平岡の二人も、文秀との出会いによって変わった二人の指導者が、手を取り合って新しい国を興していくというラストはなんとなくお約束だけれど、悪くないラストですよね。やたらしつこく二人の恋愛フラグ立てまくってたしなあ。
民と一緒に苦難を経験した二人は、良い国を作って行くだろうなあと、希望が持てる。
基本的に、大団円が好きなんですよ。新暗行御史の場合は完全なハッピーエンドとは言い切れないけど、人に未来がある終わり方なので良いのだと思います。
英實が死んでしまったのは予想外でした。なんだかんだと生き残って、鍛冶屋として生計を立てながら静かに余生を逝ってしまった仲間達の思い出の中に過ごす、ってのを想像していたんで。
あの世でいちゃつく二人を末永く見守ることになるのだろうか(笑)
もうね、ほんとにあのラスト二ページだよ……
結局そこへ行き着くんだよ。
何しろ物語の締めの部分ですから。終わり良ければ全て良しですから。
「遅いですよ、将軍!」
「ははは、すまんすまんvvv」
いいのかああッ!? 本当にこれで!?
いや、ワタシ自身はウェルカムだけどッ! 絶対この後新しい物語が展開するけど!(脳内で)
山道や房子に思い入れのある人の感想は、また違ったものになるんだろうなあ〜。